現在、銀行員でこれからM&Aについて勉強したい
M&A仲介として、もっと知識を増やしたい
転職先として、M&A系の会社を目指している。面接を受ける前にある程度を知識を習得したい
本記事はそのような方向けに記載しています。
M&A実務はやってみないと分からない部分が多い仕事ですが、一定の流れが存在するため、知識を体系的にいれておくことが必要です。
筆者は現在、某大手事業会社にて、全社の経営企画としてM&A戦略策定・投資実行を担っております。
紹介する本はすべて、筆者が実際に繰り返し読み、実務でも重宝している本のみを紹介します。
無意味だと感じた本は紹介しませんので、その点ご安心ください。
早速みていきましょう!
筆者の経歴
◇メガバンクへ入行。都内店へ配属。法人担当として勤務。法人部門にて優秀賞を獲得。
◇コロナ渦を契機に少数精鋭の事業再生コンサルティングファームへ転職。事業財務DD、再生計画策定に従事。
製造業や小売業などの計10社以上の再生支援を実施。
◇某大手事業会社へ入社。経営企画として新規事業企画や、M&A戦略の立案に従事
現在は、再生コンサルで磨いたスキルを武器に事業会社でM&A戦略を策定したり、実際に買収検討をしています!
M&Aについての基礎をまずは知りたいという方
この1冊でわかる!M&A実務のプロセスとポイント〈第2版〉 はじめてM&Aを担当することになったら読む本
この本は最初の導入においては最適です。詳細を語りすぎず、分量もちょうど良いですね。
この本はM&Aの全体の流れをまずは説明した上で、フェーズ別に詳細を説明しています。
タイトルに「はじめてM&Aを担当することになったら読む本」と記載がありますが、良くも悪くもその範疇からでません
しかし、重要なポイントを記載してくれているので、
- M&A実務においてどんな注意点が存在するのか
- 自分が実際に躓くポイントがどこにあるのか
- 自分の力をどの点で発揮できそうか
など、俯瞰するような形で知識を得ることが可能です。
個人的には、M&Aのテクニック論ではなく、M&Aはあくまで手段であるという点で、経営者としての目線で語ってくれている点ですね
文字も大きく、読みやすい日本語で記載されているので、導入にはもってこいの本です
M&Aのスキームや財務税務の影響について詳細を知りたい方
中小企業M&A実務必携 M&A手法選択の実務
この本の良い点はなんですか?
この本はみんながつまずくであろう、スキームの説明がとってもわかりやすいんだ
多くの方が、最初M&Aにおけるスキームの種類の違いを覚えるのに苦労すると思います。
ただの暗記では応用がきかないですし、会社分割というスキームにおいても、吸収分割や新設分割が存在し、
さらに分社型分割・分割型分割と別れたりなど、さまざまです。
なんだか勉強する気が失せますね、、
本書では、それらを理解しやすいように、図解した上で丁寧に解説してくれています。
またスキーム別にケーススタディを用意しており、読者と一緒に会計面や税務面への影響などを説明しています。
インプットとアウトプットを両方できる良い本です。
企業買収の実務プロセス(第3版)
で、何にが良いんですかこの本
お決まりの質問とは言え、雑だね
この本は冒頭紹介した
この1冊でわかる!M&A実務のプロセスとポイント〈第2版〉 はじめてM&Aを担当することになったら読む本
をより詳細した本という理解して頂ければよいです。
フェーズ毎の論点を網羅的に記載し、かなり丁寧に解説してくれます。
ただし、労働承継法や債権者保護手続などの内容について記載してくれていたりと、法務面での記述も増えています。
解説において、会計数字を使いながら説明があり、実践的な本となっています。
本書は版も重ねており、支持され続けている本でもあります。
本自体は300ページくらいですが、分かりやすく内容を凝縮しており、繰り返し読むことでかなりのM&A知識をキャッチアップできます。
「中小企業M&A実務必携 M&A手法選択の実務」とセットでくり返し読めば、会計税務・法務面の一通りのカバーが可能です
M&Aのフェーズ別で実務を詳細に確認したい方
デューデリジェンス
M&Aを成功に導くビジネスデューデリジェンスの実務〈第4版〉
事業デューデリジェンスはバリュエーションを出す際にかなり重要なパートですね。
この本はさすがPwCだなと思わせられました。
かなり詳しくデューデリジェンス実務について記載されています。
外部環境分析における調査ポイントや、ビジネス自体の分析する上での着目ポイント、バリュエーション実務、業種別の事例
などわかりやすく記載されています。
極論この一冊をしっかりマスターできれば、事業DDの質をかなりあげることができるでしょう
もちろん、ビジネスモデルに応じてDDするポイントは大きく変化するので、あくまで着目点を参考してください
M&Aにおける 財務・税務デュー・デリジェンスのチェックリスト
財務デューデリジェンスの良い本はないんですか?勘定科目ごとにどんな注意をしてみていけばよいとかのマニュアル的なやつ欲しいです…
大丈夫。今から紹介する本は丁寧にBS、PL別に順を追って解説してくれているよ!
本書ではタイトルにチェックリストと書いているだけあり、勘定科目別(棚卸資産・貸付金・仕入債務等)に何をしていくべきかを記載しています。
本の順番に進めていけば良いので、「具体的にどんな手続きを進めていけば、良いのか分からない」
という方にとってはまさに聖書です。
右も左も分からないので、手順書みたいな本があるのは有難いですね。
BS項目だけでなくPL項目についての解説もしており、事業再生の数値基準にかかわる正常収益力についても解説があるのでとても便利です。
税務面についても記載があり、かなり使える一冊となっております。
財務デューデリジェンスを任された人は、手元に置き、科目ごとに手続きをチェックしながら進めましょう。
バリュエーション
バリュエーションの教科書 企業価値・M&Aの本質と実務
なんか専門書感ないんだけど、これ大丈夫なの?
バリュエーションって実は答えがなくて、実は決めの問題だったりするんだ。その時に原理原則を立ち返る本としてオススメだよ!
もちろん世の中にはバリュエーションの専門書が存在して、そこではしっかりと数式が存在します。
DCF法の解説本はこの世に数多く存在します。
しかし、実際中小企業のM&Aにおいては、DCF法で価値算定をきっちりするというよりは、企業ごとで試算方法で様々です。
その試算した金額が本当に正しいのか、妥当なのかを検証するにはM&A担当者として自分の数字をもっておく必要があります。
そこで本書は、そんなバリュエーション実務の原理原則や巷であふれる企業価値試算の計算式を言語化している点が他にはない良いところです。
私はこの本を読んで、だいぶんバリュエーションに対する抵抗感が消えたので、オススメです
PMI
M&Aシナジーを実現するPMI 事業統合を成功へ導く人材マネジメントの実践
M&Aにおいて実は一番重要とされているのが、PMIですね。
私が勤めている会社でもPMIに失敗し、投資資金を回収する前に撤退というビジネスがあります
バリュエーションの際に、シナジー効果を算出し、買収価格に反映させますが、PMIで失敗すれば
その分大損となります。
シナジーを多く見積もるM&Aは大手会社同士でもかなりありますが、リスキーですね。
この本はそんなPMIに焦点をあてており、しかも人事面を多く解説しています。
事業面じゃないんかい!
PMIで重要なのは実はヒトだ。買収後にキーパーソンが抜けたりでもすれば、事業に大きなマイナス影響を与えるからね。
買収後は、買収された側の人はかなり不安定な気持ちになります。
オフィスも移動になったり、企業文化が違ったり、中には捨てられたとすら感じる方もいます。
本書では、ヒトに着目したPMIでの論点を中心に解説しており、買収側の担当者はかならず目を通しておきたい本です。
給料面の改定なんかされたらちょっと怖いですね
もちろん統合時に変更するなんてことは良くある話だよ。人が離脱しないようにインセンティブ設計などを経営者は検討するんだ
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はM&Aに興味がある、業務上必要な人など向けに紹介をしてきました!
どれも筆者が目を通した本の中で、かなり有益で実務でも使用している本なので、ハズレはないです。
いや別にあなたへの信用なんてみんな分からないでしょ!
そうだよねwwもちろんレビューを参考にした上で、購買してくださいね!
また別で、事業会社におけるM&A実務で困るポイントを解説した記事を投稿したいと思います!
それでは!